サーチライトのつもりだ!

沖野のブログです。続けられるか?

メンヘラビッチは恋愛成就の夢を見るか?

 

青春へのサーチライト沖野です。

それでは今日も元気にいってみよう。

 

今日は漫画である。2冊紹介する。

 

今回の本と評価

 

 

[1作目]

 

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スイートハート・トリガー

「スイートハート・トリガー」

著者‥ニャンニャ

出版社‥竹書房

www.amazon.co.jp

 

面白度 ☆☆

読みやすさ ☆

テーマの深さ ☆

こんな気分のときに読みたい:過激な漫画が読みたいとき

 

 

[2作目]

 

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人間観察同好会



「人間観察同好会」

著者‥日乃チハヤ

出版社‥茜新社

www.amazon.co.jp

 

面白度 ☆☆☆

読みやすさ ☆

テーマの深さ ☆

こんな気分のときに読みたい:イケメンが見たいとき 

 

 性懲りもなくまたBLである。すみません。

ほんとすみません。

またタイトルにあるようにメンヘラかつビッチな登場人物のいる作品を選んだ。

タイトル通りいくと恋愛成就の夢を見ないことになるのだろうが、新海誠作品でもあるまいし商業BLなので成就する。安心してくれ。

 

 

「人間観察同好会」と「スイートハート・トリガー」はどんな本なのか

まずは1作目「スイートハート・トリガー」。あらすじを抜粋しよう。(文庫背表紙より引用)

根暗なゲイの大学生・コールは、隣人・アレックスに片想い中。
女子にモテまくるアレックスを、コールは遠くから見つめ自慰に耽るだけの日々だった。
ある時、ひょんなことからアレックスとの距離が縮まり舞い上がるコール。
アレックスが参加するコスプレパーティーに乗り込み、勢い余って想いを告白するが───モテ慣れたアレックスに軽く受け流されてしまう。
傷ついたコールは、アレックスに愛情と裏腹の怒りを抱き始め…。
注目の新鋭・ニャンニャの描く青春BL新境地!! 

 

 

続いて2作目の「人間観察同好会」である。

あらすじを抜粋しよう。(文庫背表紙より引用)

人間観察同好会のお飾り会長:寿 明彦。

本人はいたって真面目に活動しているのだけど、会員数はどんどん減り続け、ついには同好会存続の危機に!!

そんな中でも寿と一緒に同好会活動を続ける後輩:塩見にはある目的があり――

また帯より一部を引用する。

だれも先輩なんかに興味ないし、見てないんで。

俺くらいなもんっすよ。

そんな"もの好き"は…

 

 

メンヘラビッチは恋愛成就の夢を見ることができるか。

さてまずは一作目、「スイートハート・トリガー」からである。

 

 

俺を殺してお前も死ぬ!

拳銃を構える受け

ヤミヤミの実でも食べたのか?主人公コールはとても病的である。

心も病んでいれば体も病んでいる。

白くて細い。栄養を取ってなさそうなことが分かる。

 

↓作品内で登場するコールの描写 

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そしてまた大変危険思想なビッチなのである。ビッチかはともかく。

作中より引用する。ネタバレ注意。

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オレは

オマエか自分に

銃を向ける以外

オマエを手に入れる方法がわからない

 

大変展開が良い。

コールの彼氏はアレックスというノンケ。

コールは浮気を疑うが、

アレックスはコールに浮気をしていない。

この直前にことが分かり、解決。

二人は不安定ながらも関係が続く…というストーリーだ。

 

ちなみに、「スイートハート・トリガー」には続編がある。

(「スイートハート・トリガー2」)

 

2作目では時間が進む。

同棲を始めた二人。だがアレックスがきちんとしていると気付くコール。性格もよく完璧なアレックスと付き合っていくことにコールは悩む、という内容だ。

 

ここでもコールくんの攻めアレックスへの執着と愛が大きい描写がたくさんあり、とても納得できる回となる。

 

 

さて、長くなってしまった。

続けて「人間観察同好会」である。

 

 

歪んだ攻め様 執着の理由は"かわいそうな人"

 

塩見は大学2年生。

ああかわいそうな人だこの人、

と思ったが最後相手にねっとり執着する、歪んだ性質の持ち主。

 

執着の相手は寿先輩。受けである。

受けの寿は「人間観察同好会」の部長だ。

「人間観察同好会」は大学のサークルである。

「人間観察同好会」は実質ただの飲みサークルである。部員は大勢いて、主な活動内容は飲み会の主催だ。

そんな中寿は部員として周りを観察するように努める。非常に真面目である。

しかし人に積極的に話しかける勇気がなかった。なので友達がいない。

いつも誰からも関心を持たれない。不憫な人なのだ。

 

そんな寿くんに気付いた後輩の塩見。

塩見は寿を観察するようになる。

塩見が寿に気付いたきっかけはある日の飲み会のことであった。

後輩の女の子が寿に唯一話しかけてきたのだ。

酔って体調を崩す寿にハンカチを貸してくれる後輩。

結果寿は一瞬で惚れてしまった。

その様を見た塩見は寿が気になり始める。

 

以下作中より引用する。

塩見ー、(略)

なんか面白い話ねえの?(略)

面白いヤツとかさ

 

 

塩見はバイト先の先輩に聞かれて、こう答える。

 

面白い…先輩がいるんですけど…

(バイト先輩「ほう」。)

 

(略)

長縄とびで入れない人みたいな…

(略)

 

ずっとそんな感じで…

この人、だれにも気づいてもらえないまま

これ 一年間続けてきたんだと思うとなんか不憫で

更に面白くなってきちゃって…

 

 

性癖が垣間見える瞬間である。

(これに対しバイトの先輩は「わっかんねぇ…」と内心つぶやいていた)。

 

 

塩見はメンヘラの部類ではあるかもしれない。

しかし「スイートハート・トリガー」コールのように極端な性格ではない。歪んでいるが一般的な方だ。

探せばこのタイプの人は友達にもきっといる。

 

つまり、

情けなく失態を晒す知り合い(先輩)に対して快感と嘲笑を覚えるタイプ。

またそのことからつい相手をじっくり観察したくなってしまう。そんなタイプだ。

 

一応、作中では導入から入り、身体の関係を持ち、結局執着しつつも恋愛対象としてお互い惹かれる。という流れだ。

 

この執着も、一種のコンプレックスに思われる。

コンプレックスには一応元の意味がある。「衝動・欲求・観念・記憶等の様々な心理的構成要素が無意識に複雑に絡み合って形成された観念の複合体」である。(Wikipedia参考)

 

誰からも深い関わりを持たれない寿くん。

そして寿に塩見は深い執着と関心を抱く。

そういうカップルだ。かなり歪んでいる。

歪んでいる。

しかも二人は最後まで塩見と寿は愛ではなくそのコンプレックスで関わるだろう。

と私は思っている。

ただ、二人の関係は若気の至りではない。塩見は自分の感情をよく分かっている。

それは正しく恋愛感情だ。

きっと長い時間恋人でい続けるんじゃないか。

おそらくは寿くんが定期的に反発し(「こんなの普通じゃない」等)、塩見くんが押さえ込むんじゃないか?イメージではあるけど。

ドラマが欠かせないカップルである。

 

 

 

最後にまとめ。

 

 

メンヘラビッチはマイノリティドラマのお約束

 

メンヘラは作者からすると大変魅力的だ。読者は読むとぞわぞわする、また深みが加えられる。ドラマの登場人物の個性はコンプレックスに出るものだ。

 

(深淵をのぞくときまた深淵もお前を、のぞいているのだ…)。

 

ってね。しかし深淵だと大袈裟か。ねじれというものは一様にある。私にもあれば皆んなにもある。

 

メンヘラものの作品は、マイノリティであればあるほど共感が深くなる。

またマイノリティでなくとも、読むとき快感があり関心が引かれるものと思う。

 

メンヘラは大切だ。もちろん、場合によってはビッチであることもBLの作品には大切であるかもしれない。

 

恋愛成就の夢を見るか?見るのである。そもそもが恋愛に憧れるのだ、メンヘラは。

 

ふたつとも大変いい作品だ。

読めば、あなたも面白い人物描写とぞわぞわと快感に楽しくなるだろう。

 

 

 

 

あ……

もちろんBLではあるので注意、な。